AI技術開発に欠かせない機械学習エンジニア。
その需要は今後も高まり続ける一方で、国内では人材が不足している状況です。
そのため、未経験から機械学習エンジニアに就くチャンスはあります。
ただ、高度な専門知識が必要となり、誰でも簡単に目指せる職種ではありません。
まずは、仕事内容を理解し求められるスキル・人材が自分に合っているかを考えてみましょう。
この記事ではさらにその先の、「具体的にどのように未経験から機械学習エンジニアを目指せばいいのか」についても解説していきます。
目次
(1)20代未経験でも機械学習エンジニアになれる?
機械学習エンジニアと聞くと、「高度な専門知識が必要」「理系出身者じゃないと無理」などの先入観から、「未経験から転職は無理」と考えている人も多いのではないでしょうか。
しかし、機械学習エンジニアは未経験からでも目指せる職種です。
その理由として、業界全体として機械学習エンジニアが不足していること、IT化が進み今後も需要が高まり続けることなどが挙げられます。
ただ、誰でも未経験から挑戦できるわけではありません。
まず「20代であること」が大前提。
機械学習エンジニアに限らず、30代を超えると未経験での転職はかなり難しくなります。
そして、20代でも若ければ若いほど有利になります。
なぜなら、機械学習エンジニアとして一人前になるには知識とスキルの習得が必要で、時間がかかるから。
若い方が物覚えや仕事の吸収が早いため、企業として投資の甲斐があるのです。
そのため、機械学習エンジニアを目指すのであれば、なるべく早く行動しましょう。
(2)機械学習エンジニアの業務内容
機械学習エンジニアを目指すのであれば、まずは業務内容を把握しておきましょう。
そもそも、IT業界にはインフラエンジニアやシステムエンジニア・プログラマー・AIエンジニアなど様々なエンジニアが存在します。
その中でも、機械学習エンジニアは一般的にAIエンジニアの一種。
人工知能であるAIの開発に携わり、中でも機械学習に特化したエンジニアです。
収集したデータを分析してプロジェクトの目的を達成していくデータサイエンティストやデータアナリストもAIエンジニアの一種として取り扱われることがあります。
機械学習とは?
機械学習とは、大量のデータをコンピュータに与えて特定の作業を自動的に行えるようコンピュータの知能の向上を図る作業のことです。
具体的にはデータの分類・予測など作業パターンを学習させて、アルゴリズム(計算方法)やモデルを構築していきます。
機械学習エンジニアは、このような機械学習を使って以下のような仕事に取り組みます。
・業務内容1.データ収集・整形
膨大なデータを収集し、コンピュータが処理しやすいようデータを整形。
これは表記ゆれや空白部分をきれいに整え、データの抽出精度を上げることを目的としています。
データ収集・整形はその後のアルゴリズムの開発に影響を与えるので非常に重要な作業です。
・業務内容2.アルゴリズムの開発・実装
AIに欠かせないアルゴリズムの開発・実装を行います。
機械学習エンジニアは、計算スピードや条件などを考慮して目的に合ったより最適な計算方法の開発・設計に従事。
計算方法を確立した後のプログラミングやテストも担当します。
・業務内容3.環境の構築
機械学習の実行に必要な環境を整えるのも重要な仕事。運用や保守にも従事します。
このような業務をする場合、どのようなスキルが求められるのでしょうか?
次は、機械学習エンジニアに求められるスキルや、向いている人について紹介していきます。
(3)機械学習エンジニアに求められるスキル・向いている人
機械学習エンジニアに求められるスキルは、大きく以下の4つあります。
- プログラミングの知識
- 高度な数学・統計学の知識
- ライブラリやフレームワークの知識
- 英語力
現時点で全てを完璧に持ち合わせている必要はありません。
興味を持ったところから、少しずつ学んでいきましょう。
それぞれ詳しく説明していきますね。
・求められるスキル1「プログラミングの知識」
機械学習ではコンピュータに指示を与えなければなりません。
その際、プログラミングの知識は必須です。
機械学習分野で最もメジャーなプログラミング言語はPythonです。
その他、C言語・C++・Javaもよく使われます。
Pythonの習得は必須となるので、未経験から機械学習エンジニアを目指すのであれば、まずはPythonの勉強を始めましょう。
・求められるスキル2「高度な数学・統計学の知識」
計算モデルを考える際に数学・統計学の知識は欠かせません。
細かい計算はコンピュータに任せられますが、式の意味や何が導かれるのか、簡単に計算する方法などは機械学習エンジニアが検討しなければなりません。
機械学習で使う数学は、微分積分・行列・数列・ベクトルがメインです。
統計学はこれら数学の知識がなければ理解できません。
「高校生の時は全く理解できなかった」という人でも実務と結びつくと「こういうことだったのか」と納得できることが多くなります。
そのため、あまり苦手意識を持たずに、もう一度勉強し直してみましょう。
・求められるスキル3「ライブラリ・フレームワークの知識」
機械学習システムの開発では、「ライブラリ」や「フレームワーク」を活用し、機械学習エンジニアは一部の処理を実装するのが一般的です。
- ライブラリ:第三者が作成したプログラムをまとめたもの
- フレームワーク:機械学習を行うのに必要な汎用的ソフトウェア。具体的にはPyTorchやKerasなど
つまり、全ての工程においてイチからプログラミングを行う必要はありません。
ただ、ライブラリ・フレームワークの知識がなければ最適なソフトウェアを選択・組み合わせることができません。
また、これらを上手く活用することで作業効率アップ・開発コスト削減・一定品質の確保することが可能になるのです。
・求められるスキル4「英語力」
AI技術は目覚ましいスピードで進化しているため、常に最新情報を取り入れなければなりません。
日本語での情報収集には限界があるため、英語のドキュメントを読み取る読解力が必要です。
例えば、新しいサービス開発にあたり様々な手法を検討する必要がある時、海外の論文を読んだり、英語でリサーチしたりする英語能力があればより最適な方法を選択できる確立が上がりますよね。
技術の進化スピードが早い分野において、英語で情報収集して業務に取り入れられる機械学習エンジニアは現場で重宝されるでしょう。
・機械学習エンジニアに向いている人
機械学習エンジニアに求められるスキルを見ていると、向いている人が同時に見えてくるのではないでしょうか。
やはり学ばなければならない知識・スキルが非常に多いので「勉強熱心」であることが大前提と言えるでしょう。
さらに数学が好き・得意な人。
「文系ならダメなのか」と思う人がいるかもしれませんが、実際に文系出身者の方も活躍しています。
統計学・微分・行列・ベクトルなどの数学が抵抗なくできて、データ分析が楽しいと思えれば機械学習エンジニアに向いています。
また、機械学習エンジニアの仕事はコツコツ根気強く取り組まなければなりません。
そのため、地道な作業でも苦を感じずに集中して取り組める人は機械学習エンジニアとしての素質があります。
(4)機械学習エンジニアを目指す人におすすめの資格4選
未経験から機械学習エンジニアを目指す場合、資格を取得しておくことで転職活動において有利に働きます。
資格の勉強をすることで、先ほどお伝えした求められるスキルが身につくこともあるのでおすすめです。
そこで、未経験から機械学習エンジニアを目指す人におすすめの資格を紹介します。
・1.G検定
G検定は、人工知能に欠かせないディープラーニング(深層学習)を体系的に学習できる資格。
基礎知識があり、適切な活用方法を決定して事業に活かす能力・知識を持っているかを検定します。
<受験費用>13,200円(税込)
<受験方法>オンラインにて自宅受験
<年間の受験回数>年2~3回
<おおよその勉強時間>約30時間
G検定は深層学習をこれから学びたい人向けにつくられた資格です。
G検定取得後はより高度なスキル・知識を証明するE検定を目指すことが可能になります。
勉強時間も初心者で30時間程度と難易度も低いので、挑戦しやすいのではないでしょうか。
「とりあえず簡単な資格から挑戦したい」という方におすすめです。
・2.Python3エンジニア認定データ分析試験
前述の通り、統計や機械学習分野において世界的に汎用されるプログラミング言語がPython。
Pythonはプログラミング言語の中でも比較的シンプルであり、プログラミング言語初心者でも習得しやすいと言われています。
<受験費用>10,000円(税別)
<受験方法>全国のオデッセイコミュニケーションズテストセンターにてCBT(Computer Based Testing)方式で受験
<年間の受験回数>随時受験可能
<おおよその勉強時間>プログラミング未経験者の場合、40時間以上が目安
さらに、機械学習や深層学習といったAI技術との相性が良いため、AI技術の開発言語はほとんどがPythonです。
機械学習エンジニアが最初に習得する言語としてPythonは必須です。
Pythonの認定資格にはいくつかありますが、データ分析に特化した資格がPython3エンジニア認定データ分析試験です。
Python3エンジニア認定データ分析試験の場合、プログラミング言語習得経験の有無や数学の知識があるかどうかで勉強時間が大きく異なります。
特に数学が苦手な方は習得に時間がかかってしまうかもしれません。
まずは、Pythonの勉強の取りかかりとしてPython3エンジニア認定データ分析試験の資格を取得してみてはいかがでしょうか。
・3.統計検定
機械学習エンジニアは大量のデータを取り扱うことが多く、その分析に欠かせないのが統計学の知識です。
特に文系出身者の場合は統計学について学ぶ必要があります。
その際、役に立つのが統計検定。
<受験費用>級によって異なるが2級で5,000円(税込)
<受験方法>CBT方式
<年間の受験回数>随時受験可能
<おおよその勉強時間>統計学に関する知識が無い初学者の場合、約70~100時間
4級・3級・2級・準1級・1級・統計調査士・専門統計調査士・データサイエンス基礎・発展・エキスパートの10種別の試験が存在します。
統計検定2級以上を取得すれば、採用担当者に「実務で使う統計の知識は既に持っているな」と判断してもらえます。
統計検定は機械学習エンジニアに限らず様々な職種で実践的に活かせる資格です。また、履歴書に記載すると有利になるので挑戦する価値は十分にあるでしょう。
(5)20代未経験で機械学習エンジニアを目指す注意点
最後に、未経験から機械学習エンジニアに転職する際の注意点について解説します。
注意点は以下の4つ。
- 最初は高い年収を望まない
- ライバルと差をつけるために勉強する
- 若いうちに動き出す
それぞれ詳しくみていきましょう。
・初めから年収が高いと思わない
AIの開発に携わる機械学習エンジニアは非常に需要の高い職種であり、高収入も期待できます。
ただ、それは実力のある経験豊富な機械学習エンジニア。
未経験の機械学習エンジニアは学ぶことがいっぱいあり、会社はむしろあなたに教育コストを投資しなければならないのです。
そのため、求人情報を見て「高収入を期待していたのに……」とがっかりすることもあるかもしれません。
そんな時は、「お給料をもらいながら機械学習について学べる!」とポジティブに捉えましょう。
求人を選ぶ際は、年収よりも、どんなスキルが身につき、どんな経験が積めるのかということに焦点を当てることをおすすめします。
・少しでもライバルに差をつけるために勉強しておく
未経験から機械学習エンジニアとして就職するのは容易ではありません。
書類選考でふるい落とされることもしばしば。
ライバルと少しでも差をつけるためにもアピールポイントを用意することをおすすめします。
前述した通り、機械学習エンジニアに勤勉な姿勢は欠かせないため、未経験で目指すのであれば、あなたの勤勉さがポイントになります。
ただ、いくら面接で「勉強熱心です」と言っても信じてもらうのは難しいもの。そこで資格の勉強を始めることをおすすめします。
また、面接までに絶対に資格を取得しておく必要はありません。
取り組んでいる資格の勉強内容について説明したり、いつまでに取得するか答えればOK。
また、その資格を取得して、将来的にどんなAI技術を開発したいかということまで具体的に答えられると面接官の印象にも残りやすいでしょう。
・なるべく若いうちに動き出す
機械学習エンジニアは一人前になるまで時間がかかります。
そのため、企業はあなたに先行投資をすることに。企業側としてはやはり、吸収が早く、長く勤めてくれる可能性の高い若い人材を採用したいものです。
20代であればOKというわけでもなく、20代でも前半と後半で需要の高さが変わります。つまり、1歳でも若い方が有利なのです。
ただ、20代後半であっても資格を取得してアピールできれば内定を獲得するチャンスは十分にあります。
1点注意点として、「まずは資格を取得してから就活を始める」のではなく、資格の勉強と並行して転職活動に取り組みましょう。
未経験職種への転職活動は、年齢が1歳でも若い方が良いですからね。
それに、資格が取れていない段階でも勉強中であることはアピールできます。
20代の今が一番チャンスです。是非チャレンジしてみてくださいね!
(6)20代の機械学習エンジニア未経験者を募集中!
ここまで、未経験から機械学習エンジニアを目指す方法を紹介してきました。
「どうやって勉強を始めたらいいのかわからない」「仕事と勉強を両立できるかわからない」と思っている方も多いのでは?
そのような方には、ラクスパートナーズの実践型研修がおすすめです。
- 未経験でも参加可能
- 研修期間は3ヶ月
- 同期と一緒にスタートできるので心強い
一般的なエンジニアスクールの場合、カリキュラムの受講を一人で行うことも。
ラクスパートナーズの場合、同年代の10~15名とともに研修を受けられます。
研修中もチームとなって一緒に開発を行っていくため、協力し合いながら課題を解決していけるのも安心できる点です。
「途中で挫折しないか不安」と思っていた方には特におすすめです。
詳細は以下公式ページのリンクからチェックしてみてください。