インフラエンジニアという職種を聞いたことがありますか?
皆さんも普段からスマホやPCを使ってYoutubeを見たり、ゲームをしたり、友達とチャットをしたり…他にも、インターネット上の様々なアプリやサービスを使っていますよね。
このようなウェブサービスの基盤を構築・運用しているのが、インフラエンジニアです。
この記事では、未経験からインフラエンジニアを目指す方に向けて、
- インフラエンジニアとは何か
- 必要な資格と学び方
- 仕事のやりがい・面白さ
- 将来性
についてお伝えします。
今回お話してくれる人
鈴木さん
未経験からインフラエンジニアに転職。
派遣エンジニアとして数現場経験後、現在はラクスパートナーズで講師として活躍中。
目次
未経験から目指すインフラエンジニア
インフラエンジニアとは何か?
改めてインフラエンジニアとは、インターネットや企業内のシステムなどがスムーズに動作するための土台を構築・運用・保守する専門家です。
サーバー、ネットワーク、データベースの設計~構築、そして、日々の運用からトラブル対応に至るまで、幅広い技術的業務を担当します。
インフラエンジニアの主な仕事内容
インフラエンジニアの仕事内容は、3つのフェーズに分かれています。
- 要件定義と設計
- 構築
- 運用保守
各フェーズについてみていきましょう。
要件定義と設計
要件定義と設計のフェーズでは、新しいサービスやシステムを立ち上げる際に、必要なインフラの規模や構成を考えます。
ここでは、これから提供されるサービスがどのようなものなのかを把握し、サービスに合ったサーバー構築の計画を立てることが重要です。
要件定義と設計のポイント
- サーバーのスペックはどの程度必要か?
- 何台のサーバーを用意するか?
- サーバー同士をどのように連携させるか?
- コストを削減できるところはないか?
インフラエンジニアは、このようなポイントを吟味しながら要件定義・設計を進めていきます。
要件定義と設計のフェーズは、特にインフラに関する知識と経験が必要とされる業務です。
そのため、未経験からいきなり携わるのは稀ですし、実際にこなすのも難しいです。
何年か経験を積んで、色々な構成を見て学ぶことで、徐々にできるようになっていきますよ。
構築
構築のフェーズでは、設計されたプランに基づいて、実際にサーバーやネットワークを設置して設定を行います。
構築の作業は多岐にわたるため、ネットワークを構築する人をネットワークエンジニア、サーバーを構築する人をサーバーエンジニアと呼び分けることもあります。
構築のポイント
- 設計書に書かれているものは本当に実現できるのか?
- 行った設定で思い通りの動作をしているか?
インフラエンジニアは、このようなポイントを検証しながら構築を進めていきます。
構築といっても機械を組み立てるわけではありません。
コマンドというものを使ってコンピューターに命令を送って、コンピューター内部にある設定ファイルを書き換えたり、必要なソフトをインストールしたりすることで構築を行っていきます。
運用保守
構築を終えてシステムが稼働し始めた後は、安定してサービスを提供し続けるために日々の監視とメンテナンスが欠かせません。
また、問題が発生した際に迅速な対応をしたり、適宜システムのアップデートを行う必要もあります。
このような業務が、運用保守フェーズでインフラエンジニアが行うことです。
運用保守のポイント
- サーバーは平常通り動いているか?
- なにかしらの攻撃を受けていないか?
- 適応すべきアップデートはないか?
- 効率的な運用のためにできることはないか?
インフラエンジニアは、このようなポイントを考慮しながら運用保守を行います。
たとえその時点では完璧な構築ができたとしても、年数の経過とともにマシンの劣化が起こったり、新手のサイバー攻撃に対する隙が大きくなってしまいます。
そのため、構築したサーバー・ネットワーク上でサービスが動いている限り、運用保守は欠かせないフェーズです。
運用保守では、いかに安定してサービスを提供し続けられるかが鍵となります。インフラ基盤は構築をした段階では利益を生みません。その上で動くサービスが長く提供し続けられることで利益が生まれ、そこで初めて優れたインフラの価値も生まれるのです。
インフラエンジニアの業務
未経験転職者に最も任されやすいのはこれ!
ここまで紹介した業務のうち、未経験からインフラエンジニアに転職する人に最も任されやすい業務は、運用保守フェーズの業務です。
もちろん、運用保守にも責任は伴い、一歩間違えればシステムが停止して多くの人に影響を及ぼしてしまいます。
しかし、長く運用されているシステムでは手順書が完備されていることが多く、まずはその通りに作業をすればOK!という状態からスタートできる現場も多くあります。
そのため、運用保守業務はインフラエンジニアの業務の入り口として、未経験の人にでも任せやすいのです。
僕も初めは運用保守の現場からスタートしました。
そこで一通り運用の手順を学んだら、手順書を自らアップデートしたり、システムそのものへの理解を深めてみてください。
そうすると、インフラエンジニアとしてステップアップしていくことができます。
インフラエンジニアの実際の業務をもっと詳しく!
コマンドラインを使った作業画面
インフラエンジニアとして実際に業務を行う際には、このような画面を操作します。
この画面はコマンドラインと呼ばれ、インフラエンジニアが日常的に使用するものです。
コマンドラインは、コンピューターと対話するためのインターフェースです。
皆さんが普段使っているスマホやWindwsのパソコンのように、わかりやすい画面やボタンはありません。
とっつきにくく感じるかもしれませんが、これを扱うことで、普通にパソコンを操作するよりもより高度で効率的な作業ができるようになります。
未経験からインフラエンジニアになるには?暗記必須の”コマンド”
インフラエンジニアは、先ほどのコマンドラインを開き、様々なコマンドを使ってPCを操作します。
例えば、
- pwd:自分が作業している場所を表示するコマンド
- ls:自分が作業している範囲にあるファイル一覧を表示するコマンド
このようなアルファベットのコマンドが数百種類存在します。
未経験からインフラエンジニアを目指す場合、これらのコマンドの暗記は必ず通る道です。
最初はコマンドを覚えることに苦労しました。
とはいえ、よく使うコマンドは自然と覚えていくものです。気負いすぎず、コツコツ覚えていきましょう。
色々コマンドを覚えて構築に活かせるようになってくると、どんどん業務も楽しくなっていきます。
未経験からインフラエンジニアを目指すなら
学習に活用できる資格
未経験からインフラエンジニアを目指す際、学習に活用できる資格があります。
LPICとLinuC。これらはどちらもLinuxというシステムに関する資格です。
これらの資格について、詳しくは今後別の記事でご紹介します。
ここでは、インフラエンジニアが使用するシステム「Linux」ついて概要を把握しておきましょう。
インフラエンジニアが使用するシステム:Linuxとは?
コンピューターが動くためには、オペレーティングシステム(OS)と呼ばれるものが必要です。
例えば、有名なOSにはWindowsやMacOSがあります。これは皆さんも聞いたことや使ったことがありますよね。
Linuxも、それらと同じOSの1種です。
インフラエンジニアが扱うサーバーは、Linuxで制御されていることが多いです。
普通に生活しているとLinuxを直接操作する機会はないと思いますが、インターネット上の様々なサービスがサーバー上で動います。そしてそのサーバーを形作っているのがLinux。
つまり、知らないうちに皆さんもLinuxと接しているんです。
Linuxだけじゃない!インフラエンジニアの業務に関するその他の資格
Linuxだけではなく、
- AWS
- GCP
- AZURE
- CCNA
など、インフラエンジニアは現場によって様々な技術を扱います。
それぞれの技術ごとに取得できる資格が存在します。
資格は取得することで技術力の証明にもつながりますし、新しい技術を身に着けたい時、学習のモチーベション維持に活用するのもオススメです。学習を始めるときは、ぜひどんな資格があるのかも合わせて調べてみてください。
実際に未経験からインフラエンジニアに転職した人の経験談
鈴木さんは、未経験からインフラエンジニアに転職し、今では講師として活躍しています。
鈴木さんの転職時の経験談を伺ってみましょう。
転職後は、どんな現場を経験しましたか?
私は、派遣エンジニアとしてお客様先に参画させていただく形でエンジニアとしてのキャリアをスタートしました。最初の派遣先は、Linuxを使った運用がメインの現場でした。そこで一通り運用を学んだあと、物理的なサーバーで運用されているものを、AWSというクラウド上での運用に変えるという、構築まで行うプロジェクトに参画しました。
派遣エンジニアでも構築まで任せてもらえるんですね。
私も未経験からの転職だったので、AWSの以降作業なんてまったくやったことがなかったんです。運用から実績を積み、手探りながらも現場に貢献したいという思いで、自ら学んで試行錯誤することで、派遣という立場に関係なくエンジニアとしてここまで成長してこれたと思います。
初めて触れるシステム。何かミスが起きたら…と恐怖はありませんでしたか?
本当に怖かったです。少し間違えたら、システムを停止させてしまうのでは…と。セキュリティにもものすごく気を配らなければならないので、自分がうっかり設定ミスをして、外部から情報が見られる状態になっていたらどうしよう…と、いつも考えていました。ただ、心配性だったからこそ今日まで大きな事故を起こさずに済んでいるとも思います。
鈴木さんのようにインフラエンジニアとして成長し、構築のプロジェクトに従事しながら、運用保守も行うとなると激務が想定されそうですが…いかがですか?
私の場合、残業時間は月20時間未満でした。ただ、夜勤は稀にあります。世の中には、24時間提供し続けなければいけないサービスってたくさんありますよね。
インフラエンジニアはそれらのサービスを安定して提供し続けられる基盤を築くことが仕事です。24時間営業のサービスにもアップデートは必要ですから、その作業をなるべく利用者の少ない時間に行うために、夜勤の必要がありました。
例えば、夜9時に出社して、深夜の3時ごろまで作業を行うという感じです。このあたりは現場差の大きいところかと思いますので、転職前にしっかり把握しておくと良いでしょう。
未経験からでも実感できる
インフラエンジニアのやりがい・面白さ
インフラエンジニアが構築するシステムに最も求められることは、システムの長期的な安全と安定です。
インフラエンジニアとしてのやりがいや面白さは、それを追求するために、
- 作業の効率化
- システムの最適化
を試行錯誤し、実現していくところにあります。
日々、サーバーやネットワークを監視する中で、効率的な運用を実現するための自動化ツールを導入したり、システム設計を見直してセキュリティを強化したり…。
ヒューマンエラーを減らすことも大切ですから、今やっている自分の仕事をいかに機械にやらせるか考えるのも、インフラエンジニアの仕事です。
インフラエンジニアの将来性
いま未経験から転職しても大丈夫?
DXが加速する現代、インフラエンジニアの需要はまだまだ高まることが予想されます。
現場ではよく、ミドル層(ある程度経験を積んだインフラエンジニア)が足りないという声を耳にします。いま、未経験からインフラエンジニアに転職し、スキルアップを目指すことでより需要が高い人材として活躍できる未来が待っているのではないかと思います。
まとめ
以上、未経験からインフラエンジニアを目指す方に向けて、
- インフラエンジニアとは何か
- 必要な資格と学び方
- 仕事のやりがい・面白さ
- 将来性
について、インフラエンジニアとして活躍されている鈴木さんのお話を交えて、お伝えしました。
インフラエンジニアは、システムがスムーズに動作するための土台つくるために重要な役割を担う職種です。
業務は大きく、「要件定義と設計」「構築」「運用保守」の3フェーズに分かれ、未経験から最も参入しやすいのは運用保守の段階です。また、未経験からの転職でも、ここからスタートして他のフェーズへと徐々にステップアップすることが可能です。
Linuxや各種クラウドサービスに関する資格など、新しい技術の習得と学習のモチベーション維持に役立つ資格もそろっています。
インフラエンジニアはDX化により今後も需要の高まりが予想される職種です。興味を持った方は、未経験からでもぜひ転職への挑戦を始めてみてはいかがでしょうか。
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